音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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倉橋ヨエコあらため「ヨエコ」

倉橋ヨエコさんが「ヨエコ」と名前を改めて活動を再開した。

2008年に廃業宣言を行い、同年7月廃業した。あの「夏」から15年経過した。

 

夏

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2008年と言えばリーマンショック秋葉原通り魔事件とかなり不穏な1年だった。その一方でオリンピックイヤーの一時の歓喜に気を紛らせていたような気もする。「ヨエコ」こと倉橋ヨエコさんは、自身に潜む悲しみや無力感をパワーにし楽曲制作していたように感じる。そんな彼女が2008年の憂いを目の前にして引退したが、そんな景色を見ていたらどんな形の楽曲が残されていただろう。そんな野暮なことはともかく、ご存知ない方のために簡単に倉橋ヨエコさんのキャリアを。

2000年にいわゆるインディーズシーンでミニアルバム『礼』でデビューし、「ジャズ歌謡」、「シャバダ歌謡」とも表現された楽曲は独特な世界観を生み出した。オリジナルでミニアルバム2枚、フルアルバム7枚と8年の期間に精力的な活動を行なっていた。次に紹介する「楯」と言う楽曲をご覧いただきたい。

ノスタルジックなメロディながら、とても後悔を感じる歌詞。ああすれば良かった、こうすれば良かったという後ろ向きな歌詞なのに、なんか強い。逆に強い。そんな不思議な曲がメジャーデビューシングルだ。

 

 

「損と嘘」と言う曲の歌詞は「楯」とは異なった視点での愛するであろう相手への執着を描いている。その異常なまでの執着とブラスの音が激情的な歌詞と相まって妙にしっくり来る。

本格的な活動期間が8年と決して長くはないが、それ以上の15年と言う「間」。時が過ぎ、あまり変わっていないようで、大きく変わっている視点、価値観、人間の感情。それらを彼女が自分の内なる世界とどう繋ぎ合わせて表現してくれるのか。楽しみに待っていたい。

 

今日も雨

 

さて、今回はこの辺りで。病と隣り合わせで活動を再開していくとのことであるが、体調に合わせて納得のいくパフォーマンスをやって欲しい。最後は2008年7月の「廃業」前の最後のライブ映像「ジュエリー」の模様。活動再開の報せのメディアや世間の色めき方を見ていると、いかに彼女の残した爪痕が大きかったのか改めて感じることができた。さて、新たな世界を期待しながらご一聴を。