音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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五月雨

この季節の夜。どこか蒸し暑く感じる室内から、外に出たときの感じがすごく好きだ。家の中では少し暑いので薄着になっており、その格好のまま出ると少し寒い。だけど春先の寒さとは違い、冷たい空気は少し前より鋭さが無くなっている。その肌寒さをわざと体感しようとして、用もないのに外に出る。もう梅雨に入った地域もあると先日のニュースで耳にしたこともあり、どこか湿気も感じながら早くも梅雨が近いのかなとも思わせられる。 季節は初夏というところだろうが、5月の雨はまだまだ夏に比べると強くは降らないように感じる。何処か心地よいと感じるのは私だけだろうか。

「五月雨」さみだれというのは陰暦での5月であり、実際は6月にあたりのその頃に降る長雨、つまり梅雨を指す。だけれども「五月」という漢字が前述のようにどこか心地よさをもたらしてくれるため、「五月雨」というワードは何故か梅雨を感じにくい。傘をささなくてもよい、細くて小さい雨というイメージが勝手に私の中で膨らんでいる。

さて、この「五月雨」という言葉が印象的な楽曲というのは世代によって異なると思う。40代後半から上の人にはこの楽曲が真っ先に思い浮かぶだろう。

村下孝蔵さんの「初恋」だ。このMVは比較的最近レコード会社が作ったものだが、「曲の内容を理解していない」とかなり叩かれている話は今回は関係ない。印象的なメロディラインに載せられながら冒頭から「五月雨」というワードが耳に飛び込んで来る。そのあとの言葉「緑色」という表現は面白い。初恋は叶いにくく、淡く切ないものだと青春時代の景色で表現されているが、青春は「青いもの」だと相場が決まっている。梅雨の景色を新緑で表現しただけかも知れないが、とにかく良い歌詞とメロディの「五月雨」ソングだ。

 

 

少し下の世代に下りていく五月雨と言えば。

崎山蒼志さんの「五月雨」。中学一年生だった彼が作ったとは思えない歌詞とメロディと世界観。この楽曲は某芸人の番組で披露されているのを見て衝撃を受けた。素人丸出しの学生服を着た少年がギターを弾きながらガムシャラに演奏していた。多感な時期だろうし爽やかだったり、反抗的な音楽や歌詞をぶつけてくるのもいいだろう。しかし、蓋を開けてみればこの楽曲だ。「o」という言葉が「u」に近づこうとするあの独特な発声、ビブラートというには不安定すぎる歌い方。いろんな角度から彼「崎山蒼志」を感じることが出来る。

不安定そうであって別に不安定ではない。例えば綱渡りのショーで綱を渡る人は、綱をあっさりと渡れると聞いたことがある。もちろん普段から必死に訓練を行っており、常人では出来ないパフォーマンスを本番で失敗する訳にはいかない。しかし、本番であっさり渡ってしまうと見ている観客にその凄さが伝わりにくいし、緊張感を持って見てもらう方が見る側にとっても良い。そんなところで敢えて「不安定感」を出すこともある、と聞いたことがある。それに近いとは言わないが、見ている方は少しその感情を理解することが出来るように思う。彼の不思議な天才的な才能がこちらの感情を揺さぶっていることは間違いない。私だけかも知れないが。最後は聴き比べのファーストテイクバージョンでご一聴。