音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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「KICKS」 変わったのは?

実はいうと「魂の叫び」だとか「思いを載せて歌い上げる」とかあまり好きではない。私はそこまで「気合」や「心意気」で物事を片付けたくない、と歳を重ねるたびに思うようになった。残念ながら年々感情だけでは心が動きにくくなっている。寂しいと思いながらも毎日感動する音楽を探し求めている。そんな書き出しを早速否定する声、歌を聞いた。

NakamuraEmiさんが2024年5月29日にメジャー7枚目のアルバム「KICKS」をリリースした。その中にも収録されている楽曲「祭(feat.Mummy-D)」。タイトルにあるようにMummy-Dさんをフューチャーした文字通り「祭」をテーマにした楽曲だ。Mummy-Dさんはかつて三重県桑名市のアンバサダーを行っており昨年はNakamuraEmiさんがアンバサダーを勤めた。私もかつて桑名市の近くに住んでいたこともあり、桑名の「石取祭」という祭は地元民の知り合いもいたので毎年話を聞いていた。「日本一やかましい祭」なんてキャッチフレーズがついている伝統の祭だ。それがヒントでこの2人の楽曲が生まれたようだ。

 

祭 (feat. Mummy-D)

祭 (feat. Mummy-D)

  • Nippon Columbia Co., Ltd./NIPPONOPHONE
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鋭く魂のこもったボーカルは「YAMABIKO」や「メジャーデビュー」で痛烈に感じることが出来た。しかし、メジャーデビュー後は正直鮮烈さを感じにくくなっていた。それこそ「メジャーデビュー」の歌詞にある

"NakamuraEmi メジャーデビューして変わった

な"

と、少し思っていた。歌のタイアップのしがらみや各関係者と兼ね合いがあるため、それは必要な変化だと思う。いわゆる「大人の対応」だ。しかし、今回のアルバムの楽曲を聞いて間違っていたことに気が付いた。変わってない。むしろ変わったのは自分。冒頭にあるように自分の感情の置き方が変わってしまったのだ。

 

 

カワムラヒロシさんのギターはいつものようにキレがあるし、NakamuraEmiさんのボーカルはいつものように、むしろ以前以上に突き刺してくる。日々磨き続けた刃のような声が心に切れ込んでくる。痛いのではなく背中を叩かれるような感覚、「気合」を叩き込まれる。そう、私が苦手と感じていたあの感情だ。かつて学生時代はバスケ部で根性論まるだしにどっぷり浸かっていたあの日。大人になった自分は合理性や生産性を欠いている、と思い嫌気すら覚えていた。でも今の自分に必要で足りていないものは「それ」で、そのことをNakamuraEmiさんが教えてくれた気がした。

とにかくこのアルバム「KICKS」は最高傑作になるかも知れない、そんな期待をもたらしてくれるパフォーマンス。タイトル「KICKS」のように私の野暮な考えも蹴り飛ばすようなボーカルを最後に紹介したい。「火をつけろ」はアッパーなサウンドだ。心に火をつけるべくご一聴。