(2024年4月更新)
宇多田ヒカルの「初」ベストアルバムが2024年4月10日にリリースされた。そんなことを見かけたので少し考えながら紹介記事にしたいと思った。
アルバムのタイトルは「SCIENCE FICTION」という何とも意味深に感じる名称だ。いわゆるSF・空想科学小説と訳されるがどこを指しているのか、そんなことを思いながら曲目に触れていきたい。
[DISC1]
1.Addicted To You(Re-Recording)「1999年」
2.First Love(2022 mix)「1999年」
3.花束を君に「2016年」
4.One Last Kiss「2021年」
5.SAKURA ドロップス(2024 mix)「2002年」
6.あなた「2017年」
7.Can You Keep A Secret?(2024 mix)「2001年」
8.道「2016年」
9.Prisoner Of Love(2024 mix)「2008年」
10.光(Re-Recording)「2002年」
11.Flavor Of Life -Ballad Version-(2024 mix)「2007年」
12.Goodbye Happiness(2024 mix)「2010年」
[DISC2]
1.traveling(Re-Recording)「2001年」
2.Beautiful World(2024 mix)「2007年」
3.Automatic(2024 mix)「1998年」
4.君に夢中「2021年」
5.何色でもない花「2024年」
6.初恋「2018年」
7.Time「2020年」
8.Letters(2024 mix)「2002年」
9.BADモード「2022年」
10.COLORS(2024 mix)「2003年」
11.二時間だけのバカンス featuring椎名林檎「2016年」
12.Gold〜また逢う日まで〜「2023年」
13.Electricity「2024年(新曲)」
14.Somewhere Near Marseilles -マルセイユ辺り-(Sci-Fi Edit)[bonus track]「2022年」
とりあえず並べてみた。曲の後ろに書いてある年は、その楽曲がリリースされた年を記載した。特別年代関係なくバランスよく配置されているように感じる。2枚目が少し最近の作品のように感じるが気になる程ではない。このアルバムにはいくつかの再録を含む新リミックスを多く収録。また、レコード会社のソニーとユニバーサルをまたいだ楽曲が収録されているので、そのあたりの垣根を越えてきたのはアーティストの意向も通っている。また、フィジカル(CD)はソニー、デジタルはユニバーサルと分けて販売される。
さて、ここからはなぜ「初」ベストアルバムとなったのかという話。やたら公式も今作を「初」として推している。宇多田さんのベストらしきアルバムは「3枚」存在していると思う方も多いだろう。
と、3枚とも形はいわゆるベストアルバムだ。「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1」(2004年)、「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2」(2010年)はコンピレーションアルバムという枠組みで公式に発表されているようだ。いわゆるシングルや代表曲を集めただけというイメージでいればいいのだろうと勝手に解釈する。Utada名義の「Utada The Best」は2010年に「〜VOL.2」と同日にリリースされているが、宇多田さん本人が「完全に自分の意思に反している」と宣言しており、これはベストとは言い難い見解だ。それらの話も踏まえて、今作はデビューしてから25年余り経過した段階での彼女の作品、「宇多田ヒカル」としてのベストを収録していると言っても良いのではないかと思う。CDセールスがかげりを見せ始めた頃、彗星のごとく現れ史上最高枚数のセールスを叩き出したアルバム「First Love」。確かに「First Love」はベスト「な」アルバムのひとつだろう。だけれども今回の作品は前述のとおり現段階でのベストということで落ち着いて楽しみながら聞いてみたい。
時間の流れとは恐ろしいもので、宇多田さんの3rdアルバム「DEEP RIVER」が出たのが2002年。そのあとくらいにサザンが「勝手にシンドバッド」でデビューして25周年のリマスタリングCDをリリースしていた。当時CD屋で働いていたのですごい印象に残っている。そのとき思ったのは「サザンってまた古いなー25年もやっているのか」と懐メロ感があった。そしてそんな25年が経過したのが今の宇多田ヒカルさんだ。そして、その両アーティストともにまだバリバリやっている。
今年の作品「何色でもない花」のMV。SF小説はもっと昔からあったのに車は空を飛んでないし、宇宙旅行だってまだまだ当たり前の話じゃない。だけど25年後もこうやって新作の話をしているなんて想像していなかった。もっと近くて現実的な未来こそ想像するのが難しいなと感じてしまった。そして、宇多田さんは私より年下だということが空想でも何でもないただの現実だということで今回の話は終わりにしたい。
最後は少し古い作品だが「traveling」にしたい。宇多田さんの楽曲で最も好きなものの1つだが、今回の作品で再録されているということでどういった仕上がりになっているのか気になっている。というか個人的には一番の注目点だ。では、その再録作品とかつてのMVを4K版で同時にご一聴。