音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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触れたら最後 宇多田ヒカルその5

ここまで引っ張ってきたが、今回で一旦締める。やはり後半へ行けば行くほど話をする時間軸が長くなってしまうが、もちろん作品の質が落ちているわけではない。リリースの感覚が広がっているのがその理由だが、むしろ初期のリリース感覚が異常に狭かったのだ。

人間活動期間からアーティスト活動期間再開のきっかけは2つのタイアップが決まったからであろう。「花束を君に」「真夏の通り雨」続けてどうぞ。

この2曲とも2016年の作品だが、声を聞いたとき感動した。それまでも宇多田ヒカルと言う歌手は偉大であったが、それほど声を重視していなかった。しかし、この時聞いた声はすごく衝撃的だったのを覚えている。彼女独特のトーンと程よいハスキーさの中に感じる人間味。今聞いてもそこまでとそこからが違う気がするのは私だけか。

そして6thアルバム「Fantôme」をリリースし、オリコンセールスで1位を記録した。まだまだ宇多田ブランドは音楽シーンで健在であった。「花束を君に」が朝ドラの主題歌ということもあり、この年の紅白に初出場した。ではアルバム「Fantôme」にも収録されている椎名林檎さんとの楽曲「二時間だけのバカンス」をご覧いただきたい。

椎名林檎が絡むと話が長くなるので簡単に触れたい。デビュー当時は東芝EMI同士でなんとなく比較してしまうポジションにいたふたり。1999年の新人イベント東芝EMIガールズなるデュエットでカーペンターズの名曲「I Won’t Last a day without You」が披露されたこともあった。独特な世界観で熱狂的なファンの支持を得た椎名林檎に対して、デビュー直後から他の追随を許さない程にセールス的に成功を収めた宇多田ヒカル。どちらが優れているという訳ではないが、デビューから20年近く経過したこの頃まで私もなんとなくそんな目で見ていたが、新作で共演したときはなんか不思議な感じがした。ふたりの話はこのあたりにして折角なんで2019年の「浪漫と算盤」をご覧いただきたい。

話が2017年になるが、レコード会社をソニー系へと移籍した。その後2018年には7thアルバム「初恋」をリリースした。その中から「あなた」をどうぞ。

冒頭からのあなたと言う伸びやかに歌い上げる様がかなり印象的だ。ものすごく良いトーンと声が歌詞の感情を伝えてくれる。このアルバム「初恋」はセールス的にもまずまずであるが、作品としてもなかなか評価が高く、宇多田作品でも名作のひとつと言われている。

そろそろ最後にしたいと思う。今回も合わせて全5回の記事となったがいかがだったか?改めて宇多田ヒカルと言うアーティストのすごさが伝わればよかったかと思う。自分自身も過去作品を手に取るきっかけになる良い機会だった。最後は2022年にリリースされた8thアルバム「BADモード」にも収録されている名曲「One Last Kiss」をご覧いただきたい。かなり長い間待たされたエヴァの完結に使用された楽曲。エヴァリアルタイム世代としてはそこに使用される曲は生半可では許されないとわかっていた。そこらへんのアーティストでは納得させられないところを受け止められるのはやっぱ宇多田ヒカルしかいなかったのかもしれない。彼女が締めるならまぁいいか、と言った雰囲気を作れたことは実は隠れたとんでもない偉業なんだと勝手に思っている。また、印象的な彼女作品の話が出来ればと思いながらご一聴。