地方都市にも良いバンドはたくさんいる。都市部に集中し、百戦錬磨で磨かれて素晴らしいバンドが生まれ易いのはわかるが、決してそれが正解ではないのが音楽の面白いところ。今回紹介するのは岡山のカッコいいバンドの話。岡山のバンドといえば以前「炙りなタウン」を紹介した。こちらも非常に良いバンドだ。
今回の話は、山本珠羽(Gt/Vo)、片山葉(Ba)、杉田崇(Dr)からなる岡山発3ピースロックバンド「UNFAIR RULE」(アンフェアルール)。2019年結成のこのバンドはアルバムを2枚(片方はミニアルバムと銘打っている)とその他にもシングル等いくつかリリースしている。まずは「気づいてほしい」をご覧いただきたい。
2022年の2月にリリースされた1stミニアルバム「たからもの」、2nd「いつものこと」両方に収録されている代表的な1曲。ガールズギターボーカルで3ピースバンドっぽいキャッチーでポップでメロディアスなところへ少しヘヴィーなサウンドが効いている。
「TOKYO CALLING 2023」や「MINAMI WHEEL 2023」などのイベントに出演し、知名度が高まってきている。気怠さを残したボーカルに各パートの絡み合いとエッジが効いたサウンドが目を引いた。
2ndアルバム「いつものこと」は非常に印象的な1枚だった。何気なく手に取ったのだが、いい出会いだった。1曲目に相応しい感じで収録されている「非行少女」をどうぞ。
周りに溶け込めずに音楽の道を切り開く様子が自然な感じでリアルに伝わってくる歌詞だ。リアルとはそんなにセンセーショナルでもないし、ドラマティックでもない。それをロックで「いつものこと」のごとく届けてくれている。続いては「わからないままで」。
ギターサウンドが心地よい。このバンドのメロディはどこかノスタルジックに感じる。歌詞も若者が感じる普遍的な悩みだったり、シンプルな喜びだったりとありきたりっぽく感じるが、どこか今風なのだ。
さて最後は「悲しくないよ、」という楽曲。これからこのバンドは売れ始めると、バンド名のようなUNFAIR RULE、不公平なことや理不尽なルールが付き纏って来るだろう。だけどそのままこのバンドのサウンドのように突き抜けていって欲しい。多分そんな理不尽ぶっ壊してしまう、そんな期待をしながらご一聴を。