音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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チャレンジすること 将棋と祖父

将棋の記事で目に付いた。先日からプロ棋士編入試験」に挑戦していた里見女流五冠が三連敗で男性棋士、いわゆるプロ棋士にあっさり敗れてしまった。

将棋の話と言えば、私は小さい頃今は亡き祖父から将棋を教えられ度々対戦した。祖父の口癖は「先手七分の勝ち。勝負事で先にやるのは大事なことだ。」そう言って幼い私に先手をいつも譲ってくれた。その時にいろいろな昔話を聞かせてくれたのは、非常に良い機会だったと思う。祖父が子供ころ産みの親を早くに亡くして親戚をたらい回しにされた話、戦争中の軍隊の中で班長さんに殴られたときの話、高度経済成長期に一生懸命働いた話、ここには書くことが出来ないくらいとても多くの話を聞いた。特に戦争の話なんかは、実際にそれを経験した人の口から出る言葉は重みが違った。祖父は戦争を良いとも悪いとも言わなかったのが印象的だった。

その後年を取るにつれ、将棋から離れていき年齢が二桁になるころには全く頭の中からなくなっていた。しかし、中学生のころとある漫画に出会った。能條純一さんの描く「月下の棋士」だ。伝説的な麻雀漫画「哭きの竜」を描いた漫画家さんである。個性豊かなプロ棋士たちの変態的な(良い意味でも悪い意味でも)戦いを描いた漫画だ。どちらかというと人間模様がメインとなるがきちんと将棋の部分も実際のプロの棋譜を使用しており、内容もきちんと裏付けされている非常に良い作品である。

私はその「月下の棋士」を読んで再び駒を並べる機会が増えた。しかしながら、思春期の時期将棋を指す相手などあまりいなかった。昔とったなんとかではないが、たまに友人と指しても相手にならなかった。祖父の教えはすごかったのだ。そのあと特にプロになりたいとかもなかったし、まして実力差が天と地ほどあるのもわかっていたのでそこまで本格的にはやらなかった。謎にアマ4段は取ることはできたが。

大人になってからはほぼ指したことはないが、やはり将棋のニュースを見ると気になる。私は羽生善治さんの崇拝者なので、特に羽生さんの話は目を通すようになっている。

今回の冒頭の記事の話だが、里見女流は史上最強の女流棋士のひとりとも言われている。彼女はかつてプロ棋士の登竜門である奨励会にて挑戦したが失敗。しかし、女流で実績を積み上げ再びチャンスを掴んだ。そんな彼女が挑んだ今回の相手はC級2組のプロ棋士。プロ棋士という非常に狭き門を潜り抜けているため、決して弱くはないがプロの中ではいわゆる下っ端と呼ばれる位置にいる棋士たちとの勝負であった。そんな彼らにあっさり敗れてしまった。

男女で身体的な理由が少ないといわれていた将棋だが、実際にやっているのをみると、男女の実力差を結構感じることがある。分母の数が違うからと言われてきたが、詳しい人の話によるとそうでもないらしい。ここまでくると何らかの理由が存在しているのだろうが、それは今後の研究でわかってくるだろう。

しかし、今回のチャレンジはよくやったと思う。それは里見女流と将棋界両方とも。もちろん賛否両論あるだろうが、将棋界の未来のためにはこういった機会も必要なのかなと。そしてまわりがとやかく言うのは野暮である。将棋とは対戦相手との語らいの時間なのだ。祖父との将棋で祖父の過去を知り、その想いを感じることが出来た。里見女流も意地でも負けられないプロ棋士たちの強い想いを感じることができたのかもしれない。そして、誰も手が届いていない世界へチャレンジすることは素晴らしい。先駆者とはやはり偉大だ。勝負事で先にやるのは大事なことである。

では最後にご覧いただくのはBUMP OF CHICKENの「アンサー」。やはり人気将棋マンガと言えば「3月のライオン」だろう。このマンガのアニメ主題歌はたくさんあったが最初のオープニングテーマであったこの曲を是非ご一聴。