音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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どこもかしこも 直太朗

先日ライブに行ってきた。4月、6月、8月と今回9月で今年4回目だ。実は来月10月にも1つライブ参戦が決まっているがその話はまたいずれ。6月はモンパチ、8月は板歯目とバンドものが続いたが、今回はソロアーティスト。森山直太朗さんだ。

デビュー20thアニバーサリーツアー「素晴らしい世界」。やっぱり「さくら」は聞いておきたかった。デビュー20年にもなれば余裕も生まれてくるだろうし、一時の人気と比べれば正直なところ落ち着いてきた。そのため、今はがっつりと自分の世界観でやれるだろうし、おそらく音楽に対してのストイックさからスキルや引き出しもかなり持ってきた頃合いだろうと思う。この先50、60と歳を重ねていくとスキルは円熟味を増すだろうが、フィジカルが落ちていくはずだ。「60歳にしてはすごい」なんて言葉はかけたくない。「にしては」と言う言葉はこちらがパフォーマンスに対して「値引き」してしまっていると思うからだ。

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結論から言おう。その私の浅はかな予想を遥かに飛び越えたパフォーマンスだった。めちゃくちゃ声が出ており、歌唱力は抜群だった。また、アコギの感情に合わせた演奏・弾き語りはかなりいい感じの安定感だった。裏声の使い方が独特だが、一段と磨きがかかっている。歌あり、ダンスあり、笑いありの非常に面白いステージだった。ネタバレになるので全曲セトリ紹介はしないが、一部感想のため演奏された曲目を出すことをお許しいただきたい。

初めてなのは森山直太朗さんだけではなく、このホール「ハイスタッフホール」も初めてであった。「木」をモチーフにしていると思われるこのホール内は木製部分が特徴的なデザインだった。そんなホールで繰り広げられたのは100回を超えるライブツアーの96回目の講演だった。

私は森山直太朗さんの特別ファンというわけではないが、昔から気になるアーティストであった。偉大なフォークシンガーの母を持つ。その環境故幼いころから音楽シーンのトップの方たちとも関係があった。ある意味フォークソング界のサラブレッドだった。しかしその一方で「親の七光り」なんて目で見られることもあっただろう。デビュー当時はどうしても母親のことにも触れられるし、フォークギターを抱えて登場すればどうしても母親と同じようなフォークシンガーでなければならない世間の目もあっただろう。しかし先日のライブを通して感じたことは、森山直太朗というアーティストの懐の広さだ。もちろんアコギ片手に歌うイメージは強いかと思うが、実は今回のツアーの前半では初めてアコギ一本のツアーを行ったそうだ。こちらが思う勝手なイメージが彼をフォークシンガーにしていたのだ。改めて様々な曲を聞いていくうちに、日本の歌であるが決してフォークシンガーでは括れない音楽性の広さを強く感じた。

 

 

ちなみに「さくら」はともかく、最も聞きたかった曲は「どこもかしこも駐車場」という曲だ。私が直太朗さんで一番好きな楽曲だ。

この曲のすごいなと感じるところは、シンガーソングライターである彼が歌詞ではなくメロディで勝負したところだ。歌詞の持つ深い世界観を軸としたようなイメージを持つ一方、この曲のように意味をあまり持たない楽曲も名曲に作り上げるところがすごい。最初聞いたとき歌詞の衝撃とともにメロディラインがベタな感じながら非常に良かったことを覚えている。その後耳に残ったこの名曲は事あるごとにこの動画を開いて聴き入ってしまう。

 

 

もう一曲どうしても聞きたかった曲があった。「生きてることが辛いなら」だ。

リリースした当時少し物議を醸したが、非常に良い楽曲だと思う。なかなか深い歌詞の世界観が印象的だが、メロディ自体も奥深い。こんな考えさせられる楽曲もやりつつ、歌って踊れるような楽曲も繰り広げられるのを見てると、前述のように森山直太朗という音楽性の広さは感動すら覚える。20年の歳月をいとも簡単に潜り抜けられるわけはないが、結果が彼の偉大さを証明している。

 

 

本当はもう少し様々な感動を伝えたいところだが、ライブ内容は本人たちの演出を大事にしたい気持ちを汲み取ってある程度は伏せておきたい。しかし、ひとつだけ言えることは「森山直太朗のライブは面白い」ということである。歌以外にもしゃべりも面白く飽きさせない。今回は2時間半程度の内容だったが、あっという間のことだった。根強いファンがいる理由がよくわかったライブであり、私もそのひとりとなった夜だった。

 

 

最後はやはりこの曲で終わりにしたい。この「さくら」は今後も彼の代表曲となることだろう。そして日本の音楽史においても貴重な一曲と言えるだろう。もうひとつだけネタバレさせてほしい。この「さくら」をアカペラでマイクなしを最後に歌ってくれたが、やはり感動した。また、見たいと思えるライブに感謝しながら比較的最近の映像でご一聴を。