今回もスカパラは魅せてくれた。
東京スカパラダイスオーケストラが緑黄色社会の長家晴子さんをフューチャーした「青い春のエチュード」である。伸びやかな彼女の声がスカパラの演奏と絶妙に絡みっている。
さて今回はスカパラ制作の歌モノで、個人的に好みなものを次々紹介していきたいと思う。お馴染みのものから意外なものまで、フューチャーしたアーティストを皆さん紐解くきっかけになれは幸いである。
1.「めくれたオレンジ」田島貴男
スカパラ制作で他のアーティストをフューチャーものとしては最初のアーティスト。オリジナル・ラブとして渋いボーカルを披露していたが、ここでも期待通りに名曲。イントロを聞くと遠いあの日を思い出してしまうのはここだけの話。
2.「美しく燃える森」奥田民生
前述の「めくれたオレンジ」、そしてチバユウスケの「カナリヤ鳴く空」に続く歌モノ3部作の3つ目である。氷結のタイアップ曲ということもあり、前述の「めくれたオレンジ」にコンセプト的に関連性を感じるのは私だけだろうか。
3.「星降る夜に」甲本ヒロト
甲本ヒロトの声は甲本ヒロトの歌に変えてしまう。演奏はスカパラなんだが、結局甲本ヒロト色な楽曲である。
4.「黄昏を遊ぶ猫」中納良恵
こちらもこの声だとEGO-WRAPPIN'になってしまう。しかも楽曲がノスタルジック。一発録りの熱量が伝わるようだ。
5.「流れゆく世界の中で」MONGOL800
バンドコラボ3部作のひとつモンパチとの楽曲。モンパチはスカの名曲を持っているため、コラボに違和感なくカッコ良すぎる。
6.「嘘をつく唇」片平里菜
かなり良い楽曲。甘い声だがほんの少しスモーキーなトーンの彼女の声が、スカパラの演奏にかなりマッチしている。
7.「道なき道、反骨の。」Ken Yokoyama
ハイスタのKenが初めて日本語で歌った楽曲。異常に新鮮に感じた記憶がある。コンセプトがパンクである。
8.「リボン」桜井和寿
誤解がないように好みやキャリアは別にして、恐らくスカパラがフューチャーしたボーカリストととしては一番のビッグネームになるだろう。ミスチルでやるときとは少し楽しみ方が違う気がするのは気のせいだろうか。安定感がある。
この楽曲には脱帽である。aiko風の歌詞、メロディ、アレンジにはaiko本人が手掛けたと言っても違和感がない程である。スカパラの楽曲制作力の恐ろしさを感じる名曲である。
10.「Free Free Free」幾田りら
スピード感が違う。YOASOBIで感じた新時代のボーカリストのスピード感をスカパラなりに表現した。これまでと少し雰囲気が異なる。熱狂的なスカサウンドのスピード感とは違う、どこか近未来的なサウンドが印象的である。
ここまで駆け足でやってきた。まだまだ多くのフューチャー楽曲があるが、サッカー好きの川上氏にちなんで11曲目で最後にしたい。実はスカパラコラボで一番好きな楽曲と言っても良いが、歌モノではない。上原ひろみさんをフューチャーした「水琴窟-SUIKINKUSTU-」である。まさに静かな狂宴だ。お互いの技術のぶつけ合いを感じながらご一聴を。