音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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悪夢のような1週間だったわ

ブランデー戦記の方向性を考えてしまう1枚。これが本人たちの意思なのか?周りの意図なのかは野暮なのでここではテーマにしない。しかし、音楽性やビジュアルなどの変化に何かを感じずにはいられない。インスタなどで彼らを見ていてビジュアルの変化は感じていた。

 

 

今回の話はその変化を感じる2ndEP「悪夢のような1週間」。あの名曲「Musica」のときの学生感を払拭し、大人な一面を強く打ち出している。音も以前に比べればしっかりしている。確実に進化しているけど、これで良かったのか?と考えてしまう程変化が大きい。しかし、この1枚を聞き終わったとき純粋に良いと思えた。この方向性の変化が正しかったかのか?と言った話や「ブランデー戦記」らしいかどうかは将来でないとわからない。未来、振り返った時に出る答えだから今はシンプルに聞き入ってみたい。

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とは言え早速気になったことがあった。私はジャケットを手にしたとき無意識に品番を見る癖がある。品番を見て「あれ?」となった。UPCM-1011。この系統の品番はもしかして?と思い、よく見るとメジャー流通だった。このあたりの話は長くなるので、ご存知ない方はメジャーレコード会社の定義何かを調べて頂ければ助かる。思わず前作「人類滅亡ワンダーランド」の品番を確認してしまった。細かい話はあるが、とりあえずブランデー戦記は明確にメジャーデビューしたことになる。

さて、この5曲入りEPを初めから聞いてみた感じを並べてみたい。まず1曲目「Coming-of-age Story」、2曲目「土曜日:高慢」は焦りや怒りを感じる。 「Coming-of-age Story」は内側、自分に対する焦り怒り。「土曜日:高慢」は外側、相手に対する焦りや怒り。最近何かのインタビューで見かけたが、ギターボーカルの蓮月はグランジを意識しているということを知った。かつて書いた記事で私が「このバンドはグランジだ」と勝手に位置付けていたが、あながち間違っていなかった。そんなグランジ風味を織り交ぜた2曲から始まる音楽は益々期待してしまう。

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2曲目の歌詞カードに載っている絵。これがこのアルバムから感じる時代を表現している。かつての管理人さんとのアパート物語や雷を放つ宇宙人をイメージさせる。

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こちらは4曲目「Twin Ray」の歌詞カード。喫茶店でアイスコーヒーを注文しタバコを吸っている。やはりイメージする時代は80年代か90年代か。「Twin Ray」の歌詞の中にも「オフィスに電話していい?」や「星座よりもっと 確かな繋がりがあるって信じてる」など、私が子供の頃に聞いたようなフレーズが並ぶ。

5曲目「ストックホルムの箱」は以前から披露されていた楽曲だが、今一度振り返ってみたい。グランジの風味を漂わせているこのバンドは鬱屈としたサウンドが何故か耳に残る。蓮月のなんとも言えない「揺らぎ声」、この楽曲の終盤で拍車をかける。

話を少し違う視点から見てみよう。歌詞カードから得られる情報は少ないが気になった部分をピックアップしてみたい。レコーディングやミックスを担当しているのは吉井雅之という方だ。私も存じ上げなかったがあちこち仕事をやっている。PEPLE1やanoちゃん等のミックスを担当しているすごい方だ。

また、3曲目「悪夢のような」のアレンジに参加しているのはMONJOEだ。これまでのイメージとは異なるサウンドに仕上げてきている。そんな今作のメイン楽曲である「悪夢のような」を深掘りしながら最後の1曲にしたい。

このEPに収められている5曲はこれまでのブランデー戦記とはどこか違うと感じながらもこのバンドらしさを漂わせる不思議な1枚だ。そして、このバンドの「変化」を一番感じる楽曲である「悪夢のような」。シティポップな雰囲気を醸しながらもいつもどおりの不思議な歌詞の世界観。ワンダーランドな世界観には「煌めく毒針」や「ルシファー」も登場する。

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歌詞カードにあるのは蛇の絵。「煌めく毒針」は蛇のことだろうか「私」の大きく口を開けた中にあるそうだ。そして「君」とルシファーに挑むという不思議な世界はやっぱりブランデー戦記だ。ルシファーはかつて大天使だったという。神の怒りを買ってしまい、追放されて堕天使となった。ルシファーの大きな変化を模したかどうかはわからないが、そこへ挑む世界は思わず聞き入ってしまう。是非ご一聴を。