音楽好きの今の話と昔の話

普段目についた音楽について何となく語ります。

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椎名林檎「裸」——剥き出しの真実を喰らう、大人のための特効薬

椎名林檎が新曲を出す。

いくつになっても、この通知を目にした瞬間の胸の高鳴りは、まるで恋に落ちた直後のような制御不能なものだ。まず聴く。じっくりと、一音も聞き漏らすまいと耳を澄ませる。それが私の流儀。

今回の新曲「裸」。まず何が「裸」なのかを紐解きながら、その真髄に触れていきたいと思う。

雑音すらもエンターテインメントにする彼女の矜持

先日の週刊誌報道が雑音となり、彼女のイメージを少し変えてしまう……なんてことは、私の中で決してあり得ない。若かりし頃からそんなもんだ。最初の結婚の時だって、あのぶっ飛んだコメントに腰を抜かしつつ、複雑な思いで読んだのを昨日のことのように覚えている。

けれど、歳月は私を強くしたのか、はたまた彼女の掌の上で転がされているだけなのか。今となっては、そうしたノイズすらも彼女という強烈な物語を彩るスパイスのように感じてしまえる。結局、私たちは彼女の「作品」が聴ければそれでいいのだ。彼女はいつだって、自分の生き様をそのまま音楽に変換してしまう力を持っているのだから。

圧倒的なバンド・サウンドと、対峙する歌声

一聴して思うのは、「やっぱり、これぞ椎名林檎サウンドだ」という圧倒的な事実。壮大かつ複雑なメロディ。詰め込まれた情報量の嵐。一見、カオスにすら聴こえるサウンドなのに、その中心には一切のブレがない。今春開催された全国ツアー『椎名林檎 党大会 令和八年列島巡回』での名演も記憶に新しい、石若駿(drums)、鳥越啓介(bass)、名越由貴夫(guitar)、林正樹(wurlitzer)。

手練れの彼奴らが織りなすアンサンブルは、椎名の「剥き出しの語り」と完璧に拮抗している。石若駿のドラムが言葉の輪郭をなぞるように音を削ぎ落としていく瞬間、そこにはもはや犯罪的な色気が漂っている。

「裸」になって愛するということ

ドラマ『ラストノート』の主題歌でもあるこの曲は、「大人ぶることをやめた大人たちが、人生で最も激しい恋へと導かれていく」という主人公の心情に、これ以上ないほど寄り添っている。

装いを脱ぎ捨て、見栄やプライドを剥ぎ取った時に残るもの。それこそが、その人が最も大切にしている純粋な感情なのだと、彼女は音楽を通じて突きつけてくる。聴き終わった後、なんだか自分の心の奥底にある、隠しておきたかった情熱まで白日の下に晒されたような、清々しい気分になる。

賞賛以外の言葉が見当たらない

相変わらず、歌が上手い。上手すぎる。

高音の震えから低音の吐息まで、聴く者の耳を捕らえて離さない。私の口からは賞賛の言葉しか出てこないので、もうこれ以上の分析は野暮かもしれない。語彙力が溶けていくのがわかるけれど、ファンとして言えるのはただ一つ。「とにかく、じっくり聴け」これに尽きる。

何も纏わず、真っさらな耳で、この音の奔流に飛び込んでみてほしい。きっと、あなた自身の中にある「何か」も、裸にされてしまうはずだから。では最後に「裸」、ご一聴。

 

裸

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