以前MDプレイヤーは既に生産終了しているという記事を書いた。そして2025年2月末をもって全てのMDも生産終了した。
何かのタイミングでプレイヤーが手に入らないかなとずっと思っていた。そんな想いも薄れかけていた先日、一本の電話で止まっていた歯車が動き出した。
「片付けしていたらMDが出てきたけどいる?」と母から連絡があった。また再生する機会を待つことになるが、何が入っているのか興味深かったのでいただくことにした。その旨を伝えると「ちゃんと聞けるよ。」と母親に言われた瞬間「?」と頭が混乱した。聞けるも何もプレイヤーがないからわからないと伝えると「さっき再生して確認した。」と衝撃の答えが返ってきた。実家に稼働中のMDプレイヤーが存在したのだ。貸して欲しい旨を伝えると「これはもう使わないからいらない。今時使うの?」といわれたが、あなたの息子さんが生産終了したMDプレイヤーの良品を探しているんだよ!とは面倒だったので伝えなかったが、あっさり交渉成立。まさかの事態に私は昼間から興奮気味だった。
帰宅してみるとそれは既に我が家に持ち込まれていた。確かMDプレイヤーだ。ポータブルだけど。早速クローゼットにしまいこんだMDたちを引きずり出して、次々とセットして聞いてみる。
普通に動くし、音も十分綺麗だ。妻のMD在庫も大量にあったのでひとつひとつ入れ替えて聞いてみる。そんな作業を繰り返して思ったことがいくつか出てきた。まず、入れ替え部分がやや脆弱に感じて取り扱いが手間だし、曲目をチェック出来るところはリモコンの小さな液晶画面なので見にくい。そして電池というのもたくさん中身を確認するには不便に感じた。
そんなことを思いながらせっせと聞いているとまた母親から連絡があり、電池が充電だからどーたらこーたらという内容だった。それは問題ないしこちらで充電する旨を伝えると「だったらコンポで聞いたらええやん。」と、また想定外の答えが返ってきた。つまり実家の物置にMDコンポとポータブルMDが眠っていたのだ。まさに灯台下暗し。コンポを入手することによって入れ替え不安、電池、小さい画面問題が一気に解決した。
しかし、その期待はあっさり打ち砕かれた。5CD、5MDというフルアーマータイプのコンポを設置し、早速MDを投入した私の悪い方の予想が当たってしまった。チェンジャーは大丈夫だったが読み込まなかった。ちなみにCDの方もダメだった。仕方なくポータブルタイプを自分のコンポに繋ぐことでMDから音源を抽出することにした。
さて、いくらか聞いて思ったことのつづき。意外とCDで持っているものが多いことに気付いた。もともとはCDを友人やレンタルショップで借りたものをMDに入れることが多かった。これに関しては後年中古CDでかなり手に入れている自分がいた。多分また聞きたくなって中古店で安価なものを見つけては、購入しまくっていたんだと思う。また、もともと持っていたものから聞きたい楽曲を集めてまとめているものもたくさんあった。このあたりは想定の範囲内だし、私の最大の目的は別にあった。それは友人のバンドの音源やライブ音源など、もう新たに絶対聞くことが出来ないであろう音たちだ。誤解がないようにお伝えしておくと決して違法なものではなく、直接手に入れたりしたもである。
音楽ルネサンスと呼ぶべきか、発掘作業と呼ぶべきか、私の趣味部屋でMDからデータ抽出させねばと思いながら作業を開始した。ロストテクノロジーとなってしまうその前に何とかしたい、そんな状況をお伝えしながら続きはまた次回。
最後はMDにちなんだ楽曲を。1991年5月にSONYより発表された画期的な記録媒体は2025年2月28日に完全に生産終了となった。まだ大量にブランクMDがあるのであまり気にならないが、今後確実に失われていく記録媒体に思いを馳せたい。元から音楽作品が入っているタイプ「再生専用MD」は1000タイトル以上発売されたそうだ。そんなタイトルの中から最後に発売された、インディーズは除くメジャータイトルは2009年倉木麻衣さんの「ALL MY BEST」だった。その中から代表曲「Secret of my heart」のMVを最後にしたい。MDから音源の抽出はうまくいったのか?は期待していただきながら、また続編記事をお待ちください。ではご一聴を。